Azure Stack Hub Development Kit とは

azurestack
Published: 2018-12-04
  • 初版:2018年12月
  • 第二版:2019年12月
  • 第三版:2022年3月

はじめに

本エントリーはMicrosoft Azure Stack Advent Calendar 2018の4日目です。

先日のエントリでは、2つの Azure Stack Hub の1つである Integrated systems について説明しました。本日のエントリでは、もう1つの Azure Stack Hub である Development Kit について説明します。

Development Kit の特徴

Development Kit は、その名のとおり評価用の Azure Stack Hub です。高価な Integrated systems を買う前に、Azure Stack Hub という仕組みが自分たちの組織に合うかどうかを評価するためのソリューションです。

Developmet Kit の特徴をざっくりと説明します。

1. ベンダを選ばない

1つ目の特徴は「ベンダを選ばない」です。Developmet Kit は、Microsoft からソフトウェアのみで提供されます。無料で誰でもダウンロードできます。そして、次の前提条件を満たすハードウェアであれば、どのベンダのハードウェアにもインストールできます。

最小 推奨
CPU 16コア 20コア
メモリ 192GB 256GB
OS Disk 200GB 200GB
データ Disk 240GB×4本 400GB×4本
OS Windows Server 2016 以降 Windows Server 2016 以降

その他の条件については、次のドキュメントをご確認ください。特に、データ Disk については、複数の Disk を Storage Spaces Direct で1つのプールにする都合上、細かな条件が定められています。

参考:Azure Stack のデプロイ計画に関する考慮事項

要件さえ満たせば、仮想マシンにもインストールできます。Azure の Virtual Machine であれば、E16v3 や E32v3 あたりが良い具合です。Azure の Virtual Machine 上に Development Kit をデプロイする ARM テンプレートを公開している方もいます。

参考:

2. 評価前提の構成

2つ目の特徴は「評価前提の構成」です。Development Kit は評価版です。そのため、Integrated systems と比較すると次のような制限があります。

可用性が低い

ASDK は1台のサーバ上で動作します。Integrated systems のように複数のサーバを利用して可用性を高められません。そのサーバが死んだらおしまいです。また、S2D の設定が Simple(ミラーしない)になっているため、データ Disk が1本死んだだけでデータが消失して Azure Stack のサービスが起動しなくなります。

外部からアクセスできない

Azure のサービスを提供するネットワークが、サーバ内部の SDN に閉じています。そのため、サーバ外部のネットワークから Azure Stack 上の Azure のサービスを利用できません。これらの制限から、Development Kit で Azure Stack Hub を評価する際は、原則として、Development Kit をインストールしたサーバに RDP または VPN で接続する必要があります。※非公式ではありますが、NAT を利用して外部ネットワークからアクセスできるようにする方法もあります。

オレオレドメイン名

Development Kit 上の Azure のサービスは、loacl.azurestack.external というドメイン名で提供されます。Integrated systems のように自由にドメイン名を指定できません。※非公式ではありますが、ドメイン名を任意のものに変更することも可能です。

3. Microsoft のサポートがない

3つ目の特徴が「Microsoft のサポートがない」です。Microsoft は、評価用である Develpment Kit に対してサポートを提供しません。利用者は、Development Kit に関する不具合を自己解決しなければなりません。Microsoft が提供してくれるものは、公式ドキュメントとフォーラムのみです。

参考:

最近の私は、不具合を自己解決することを無駄と考えて、不具合が起きたらデプロイしなおしています。

まとめ

本日のエントリーでは、評価版の Azure Stack Hub である Development Kit について説明しました。Azure Stack Hub に興味のある方は、いきなり Integrated systems を買うのではなく、Development Kit を利用してみることをお勧めします。Azure Stack Hub が何を提供してくれるのかということを身をもって体験できます。