ハイブリッドクラウドへの旅路
azurestack
Lastmod: 2019-03-10

はじめに

本エントリーはMicrosoft Azure Stack Advent Calendar 2018の25日目です。

最終日となる本エントリでは、Azure Stack に対する私の思いや考えをつらつらと書き連ねます。

不自由だからこそ良い

Azure Stack は Azure の拡張機能です。Azure Stack は Azure と同じサービスを提供することを目的に設計されています。そのため、Azure でできないことは Azure Stack でもできません。Azure Stack と従来の仮想化製品と比べると、Azure Stack は自由度が低いです。

自由度が低いことは悪いことでしょうか。私は良いことだと考えます。パブリッククラウドが流行っていることからわかる通り、多くの人々にとって過度の自由度は不要なのです。過度な自由度は決めなければならないことを増やすことにつながり、結果としてビジネス全体のスピードを失速させます。不自由であれば、必要最低限のことを決めるだけで次の行程に進めるので、結果としてビジネス全体のスピードが向上します。

Azure Stack を設置する(Deployment Worksheet)でまとめた通り、Azure Stack を導入する際に管理者が決めることは非常に少ないです。決めることが少ないがゆえに、Microsoft と OEM ベンダが考えたインフラを短期間で利用し始められます。Azure Stack の不自由さを指摘するあなたに求められていることは、システムのパラメータを決めることですか。それとも安定したシステムを導入することですか。すべてのパラメータをあなたが決めたシステムと、ほとんどのパラメータ を Microsoft と OEM ベンダが決めたシステム、どちらが安定したシステムでしょうか。あなたにずば抜けた専門性がない限り、専門家である Microsoft と OEM ベンダが決めたシステムのほうが安定したシステムになると思います。

機能のマルバツ表ではなく、ビジネスへの貢献度を

「Azure Stack には〇〇がない」という指摘を聞きます。確かに、1811 update 時点の Azure Stack にはできないことが多いです。Azure IaaS VM Backup を提供する Recovery Service Vault がない、ハイスピードな IPsec VPN を提供する新しい SKU の VPN Gateway がない、あたりが最たる例でしょう。

では、〇〇ができないから、Azure Stack はダメなのでしょうか。確かに他の仮想化基盤と比較すると機能面で劣る部分もあるでしょう。しかし、システムの優劣は機能の多さで決まるわけではありません。システムの優劣はビジネスにどれだけ貢献するかで決まります。大事なことは製品を比較することではなく、ビジネスに最適な製品が何かを判断することです。

Azure Stack は、できないことを上回る個性的な特徴を持っています。その特徴がビジネスに貢献すると判断した様々な企業が Azure Stack を採用しはじめています。マルバツ表とのにらめっこはほどほどに。

金で解決できることは、金で解決する

Azure Stack は高価です。これはまぎれもない事実です。ただし、Azure Stack の価格にはこのカレンダーで紹介した個性的な特徴と機能が含まれています。お金を払うだけで、これらの機能が手に入るわけです。お金で解決できることはお金で解決しましょう。そのうえで、お金で解決できないことに注力しましょう。

もし、Azure Stack にかかる費用を既存の仮想化製品と比較したいのであれば、ベンダから出てきた見積り以外の部分も含めて比較しなければなりません。Azure Stack を利用すると「Azure Stack に任せることで不要になるもの」や「Azure Stack によって新たに得られるもの」がでてきます。これらの部分を含めてトータルで費用を比較する必要があります。

そもそも、Azure Stack の価格を他の仮想化製品の価格を比較したがる時点で、その人は Azure Stack を本質的に必要としていません。重要なのことは 「Azure Stack がもたらす価値が、Azure Stack の価格とつりあっているかどうか」です。他の仮想化製品とは提供する価値が根本的に異なるのですから、価格に差があるのは当然のことです。

ハイブリッドクラウドへの旅路

Microsoft は「一貫性のあるハイブリッドクラウド」という壮大なビジョンにむけて旅を続けています。Azure Stack を利用するということは、この旅に参加することを意味しています。掲げたビジョンが壮大すぎるので、現状は道半ばです。そんな Microsoft を遠目で見るのか、それとも Microsfot と一緒に旅をするのか。Azure Stack にかかわり始めた時の私は「会社の業務命令」として Azure Stack にかかわりました。ですが、今の私は「一貫性のあるハイブリッドクラウド」という壮大なビジョンに心を惹かれ、エンジニアとしての好奇心で Azure Stack にかかわっています。もしあなたも「一貫性のあるハイブリッドクラウド」という壮大なビジョンに心を惹かれるのであれば、ぜひ一緒に旅をしましょう。